【今後の展望】大学のオープンキャンパスの集客はどうすべき?

今回はオープンキャンパスの重要性を改めて考えながら、集客を成功させるためのポイントをお話します。また昨今注目度も高く実施校も増加している “ウェブオープンキャンパス”についても詳しく解説していきます。


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こんにちは、スタディプラス デジタルマーケティング推進担当です。

高校生と大学が初期段階で接点を持つために開催するイベントといえば、オープンキャンパスでしょう。

オープンキャンパスの開催にあたってはさまざまな準備が必要ですが、特に集客については何が有効か、人数を追えば質が落ちやすい、質を追えば人数が集まらないなど悩まれているご担当者の方も多いのではないでしょうか?

オープンキャンパスの何が重要なのか

高校生との接点を作るにあたってオープンキャンパスの何が重要なのか、復習も兼ねてその理由を理解しておきましょう。

少子化により学生の獲得が激しくなる

いま、“少子化”は大学の大きな経営課題となっていることはみなさんもよくご存知のことだと思います。日本はいま、この問題の真っただ中にいます。

2019年に日本私立学校振興・共済事業団が行った調査によれば、日本の私立大学の実に33%が定員割れという状態となってしまったことがわかりました。

出典:平成31(2019)年度 私立大学・短期大学等 入学志願動向(日本私立学校振興・共済事業団)

学生が減少すると、当然のように学生たちから集まる学費の総額も減ってしまうことになります。数ある大学の中には、少子化の影響により経営難に陥っているところもあるのが実情です。

子どもが少ないこの時代、大学として“志願者を確保するための取り組み”が急務となっています。その具体的な取り組みとして、いまオープンキャンパスが見直されているのです。

対面式のイベント(オープンキャンパス)でしか伝えられないことがある

オープンキャンパスでは、志願者に「大学のリアルな姿」を見てもらうことができます。

大学を選ぶにあたり、「学校の雰囲気」「施設の充実度」などは自分の目で直接見てから判断したいと考える人も多いでしょう。「通いやすさ」も、実際に家から大学まで足を運んでこそ判断できるものです。

高校生の多くは、大学という場所に憧れを抱いています。新境地でまた1から学びをスタートし、新たな仲間を作るということに、大きな期待を抱いている人も多くいます。

現代は「大学全入時代」とも呼ばれる時代。日本全国に700以上もの大学がある状態で、高校生は受験したい大学を自由に選ぶことができます。

この状況において、大学側が高校生に向けてすべきことは“いかに魅力的な大学であるか”を伝えることです。まさにその大学独自の魅力をアピールする場として、オープンキャンパスを開催されていると思います。

もちろん高校生の中には、大学を選ぶ基準として「興味のある学部や学科がある」「偏差値が自分に合っている」といった項目を挙げる人もいます。「自宅から通えるかどうか」を重視する人もいるかもしれません。

しかしこれらの条件を訴求ポイントとして使うのは少々難易度が高いでしょう。たとえば「この学科がある大学は日本全国でここだけ!」や「日本有数の◯◯率」といった具合に、よほど特出していないと個性として使えません。

また、学部や学科、偏差値といった情報は、既知の様々な手段で充分知ることができます。オープンキャンパスを開催するのなら、高校生に直接大学の中を見てもらえる、且つ直接コミュニケーションがとれるというメリットを最大限に活かすことが重要になります。

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オープンキャンパスの集客を成功させるためのポイント

オープンキャンパスを開催するメリットがわかれば、あとはいかに内容を充実させるかを考えていく段階です。

ここでは、オープンキャンパスを作る際のポイントについて紹介します。

ほかの大学と比較する

オープンキャンパスでは、各校がさまざまなイベントや体験授業、校内ツアーなどを開催することになります。しかし、ただ淡々と学部・学科について説明をしたり、校内施設を案内したりするだけでは、高校生を退屈させてしまう可能性もあります。

大切なのは、
参加者に「この大学は自分に合いそう!」や「面白い取り組みをしているな」などまずは興味をもってもらうこと、より深く大学のことを知ってみたいと思ってもらうことです。

他の大学でもやっているような内容で開催するだけでは、高校生に存在を強く印象づけることができません。
まずは、他の大学のオープンキャンパス内容を調査してみることをおすすめします。どのようにやっていくのか・・・

比較の考え方は
「エリア×学部」で競合校(学部)の
オープンキャンパスのプログラム内容をみていくこと
※エリアは呼び込みたい学生が居住するエリアという意味です。

まず、エリアを以下の大きく3つにわけます。特に初期段階(6月7月くらいまで)は、その中でもさらに都道府県をしぼっておいたほうが良いです。

<大学所在地が地方の場合>
1:注力の近隣都道府県(3つくらい)
2:1以外の近隣エリア(都道府県)
3:遠方エリア(都道府県)
※大学所在地により首都圏や大都市部は別扱い

<大学所在地が首都圏・大都市部の場合>
1:東京、大阪、愛知、福岡など都市府県
2:東京以外の関東甲信越県、大阪以外の関西府県、愛知以外の近隣県、福岡以外の近隣県
3:遠方エリア(都道府県)

次に学部ですが、各大学で学部によってターゲットとする学生が違っている、つまり競合とする大学も違っている場合は、それぞれで競合校を設定します。(すでに決まっている大学が多いですよね)当然、総合大学などは学部ごとに競合校を分けないこともあると思います。

この中から各エリアで3〜5大学、合計9大学〜最大15大学程度のオープンキャンパス内容(過去のものも含む)を調べ、それらと比較して「あくまでオープンキャンパス内容の違いをアピールすることがとても重要」です。

自分たちの大学の特色はどんなものなのか知る

オープンキャンパスでアピールすべきことは、大学の特色。
それは「ほかの大学ではできない、この大学でしかできないこと」ではなく、最も知るべきことは「学生からみて良いと思われているポイント」です。それを、オープンキャンパス開催のコンセプトに組み込むべきです。
オープンキャンパスで“そのポイント”を押し出すことができれば、自然な流れで学生の賛同が得られ目に止まります。

大学の特色と高校生が求めるものが合致することになり、【大学への納得と腹落ち感】となり、他校と差別化する大きな要素となります。

参加者の立場に立ったプログラムを考える

多くの高校生に参加してほしいからといって、オープンキャンパスで盛り上げ要素の高いプログラムばかり実施するのはおすすめできません。

これでは大学の“外面の部分”だけを高校生に見せているようなもの。高校生たちは「入学後にどんな学生生活を送ることになるのか、表も裏も含めてイメージしたい」と考えていることを忘れてはいけません。

イメージを膨らませるためには、校風や在校生の雰囲気、大学の周辺環境も含めた【大学の全体像】を見てもらうことが大切です。

「良い印象を持ってもらいたい」と思う気持ちもわかりますが、いい意味で“ありのままの姿”を見せることを意識し、プログラムを構成するべきです。

また、時期と参加回数にあわせたプログラムの変更を行うことも重要です。6月7月に実施し初回参加の場合と8月9月に実施しリピート参加とでは当然内容も変える必要があります。

学生の立場にたちできるだけ飽きさせない、残念に感じさせないプログラム内容となるよう考慮しましょう。

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これからはオンラインイベントがもっと活用される

これまで長らく実施されてきた、「オープンキャンパス」という仕組みですが、近頃は“ウェブオープンキャンパス”に注目が集まってきています。

最後に、ウェブオープンキャンパスの現状と今後の展望について解説します。

ウェブオープンキャンパスが注目される理由

ご存じのとおり、昨今は新型感染症の流行に伴い、数々の屋外イベントが中止になっています。オープンキャンパスも例外ではなく、多くの高校生やその保護者が集まることから、開催予定を取り消した大学が多くありました。

やむを得ない事情とはいいながらも、大学側と高校生たちとの接点がなくなることは大きな痛手になります。そこで選ばれたのがウェブオープンキャンパスという選択肢です。

ウェブを介して開催するため、ウェブサイトの閲覧データから志望意欲のある学生の情報を集められるという点においても、ウェブオープンキャンパスは注目されています。

ウェブオープンキャンパスのメリット

ウェブオープンキャンパス最大のメリットは、ネット環境さえあれば誰でも気軽に参加できるという点です。これまで参加が難しかった遠方に住む志願者でも、画面を通じて大学の雰囲気や特色を知ることができます。

また、オープンキャンパス開催後の動画をアーカイブという形で残しておけば、後日閲覧することも可能です。別の予定と重なってしまっても、あとからじっくり内容をチェックすることができて安心です。

<大学側のメリット>
1:これまで取り込みにくかった遠方から参加学生にもアプローチできる
2:1日で複数大学参加も可能となり、競合大学を考慮した日程設定が可能
3:施設や会場など収容人数制限を気にせず集客が拡張できる

こういったメリットをうまく活用し、例年通りもしくはそれ以上の集客ができたといったお話もでてきています。

ただ、一方で早くもマイナス面の課題も顕在化してきています。

1:学生のデジタルスキルのばらつきによるサポート対応工数の増加
2:大学実施事務局側のデジタルスキル不足による運用トラブル
3:PCスペックやネット回線環境、ウェブミーティングシステムなどのインフラ整備によるコスト増

これら課題は今後新たなサービスの登場やテクノロジーの進化によって改善されていく部分もありますが、当面の間は人手や実務運用、きめ細やかな大学側での対応でカバーする必要がありそうです。

今後もウェブオープンキャンパスは開催されるのか?

やむを得ない事情で始まったイベントのオンライン化、大学の入試広報担当者のみなさんからは大学の熱量がつたわらない、コミュニケーションがとりにくい、学生の顔が見えないなど、これまでのオープンキャンパスと比べて消化不良・不完全燃焼感は否めません。
不慣れな部分もあり負担も大きいですが、これを新たなチャンスとしてポジティブにとらえるべきではないでしょうか。
先のメリットにも書いたとおり、これまでアプローチできてなかった新たな志願者との接触も増やせる可能性もありますし、当然学生のみなさんにもメリットになっていることもあります。

今後は現在の形式で継続するというよりも、さらに新たなオンライン機能やコミュニケーションサービスが提供され「ウェブオープンキャンパス2.0」でもいうべき次なる進化系がうまれていくと感じています。

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【今後の展望】大学のオープンキャンパスの集客はどうすべき?
スタディプラスからの5つの提言

1:オープンキャンパスの内容で競合大学と比較しプログラムを決定する
2:学生からみた大学のグッドポイントを訴求する
3:参加者の立場に立ったプログラムを考える
4:オンラインイベントに新しい活路を見出すべき
5:新しいウェブオープンキャンパスの形へチャレンジ

大学の魅力を、高校生に直接伝えることができるオープンキャンパスの場。これからの時代、大学主催のオンラインイベントが一般化していくことは充分考えられます。

魅力あふれるオープンキャンパスを開催するためには、まず大学ならではの特色を知り、強みとして活かしていくことがとても重要です。時代に沿った情報発信を常に意識しつつ、“選ばれる大学”であり続けることを目指していきたいものですね。