保護者が大学で求めていることは?入試広報に活かすには

学生の大学選びでは、担任や進路指導の先生以上に保護者の印象が大きく影響します。学生に魅力をアピールできても、保護者に正しく伝えられていなければ、志願してもらえないリスクがあります。 効果的な入試広報をするには、保護者の心に刺さるアプローチ方法が必要です。そのために、まず多くの保護者が「大学に求めていること」を知らなくてはなりません。 ここでは、受験生をもつ保護者が子どもの通う大学へ求めていることは何か、入試広報のポイントとともにご紹介します。


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保護者は子どもの大学選びについてどう考えている?

保護者の同意は、大学選びにおける最大の難関とも言えるでしょう。特に教材費がかかる学部や医学部のように6年生まである大学、遠方や私立の大学受験は、志望校を打ち明ける子どもにとっても「反対されるのでは」と不安になる要素です。

この項目では、実際に志望校を我が子から打ち明けられた保護者の反応など、アンケート調査の結果をもとに保護者の意向をまとめました。

子どもの意思を尊重する保護者が多い

志望校を伝えたところ、保護者からどのような反応が返ってきたのかに対するアンケートでは、子どもが自分自身で決めたことだからと受け入れるケースが顕著でした。保護者の反応を一部ご紹介すると、以下のとおりです。

・「良いと思う」と言ってくれた
・応援してくれた
・「自分で自由に決めなさい」と言ってくれた
・「将来を考えての決断だから」と賛成された
・夢に合っている大学なので同意してくれた

学費など不安要素はあるものの、総合的には子どもの決めた進路へ同意し、応援している保護者の声が目立ちました。また、中には以下のように地元大学を選んだことで同意に至ったケースも複数あります。

・いとこが通っているので許してくれた
・家から通える距離なので安心してくれた
・「県内だから良い」と言われた

近隣の大学を選んだ場合は、上記のように実家から通いやすいことや親戚の子どもが在籍している点を理由に許可されることが多いようです。

マイナス面が気になると反対する場合もある

最終的には合意してくれたものの、最初は反対されたという経験を持つ学生も一定数いました。その理由は大学や学部に対する不満ではなく、以下のようなマイナス面が気になった保護者が大半です。

・学費が高い
・公立に行ってほしかった
・場所が遠い(実家から通えない)

マイナス面として第一にあげられた点は、やはり学費の高さです。志望校に賛成してくれた保護者の中にも、学費の面で心配の声を上げる人は少なくありません。

また、親心として実家から通えない距離を心配した声も目立ちました。しかし、いずれも最終的には子どもの熱意を感じ、志望校を認めてくれた保護者が多くを占めています。

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保護者が大学に対して求めていること

我が子の将来を左右する大学選びは、本人だけではなく保護者にとっても人生の大きなターニングポイントです。安心して子どもを通わせることのできる大学かどうか、さまざまな視点からチェックしています。

信頼を得るために大学ができることは、事前に情報を細分化して分かりやすく整理し、それぞれの保護者が求める情報を適切に提供することです。

では、具体的にどのような情報を提供すべきか、参考として多くの保護者が大学に求めていることを2つご紹介します。

将来に結びつく取り組みがあるか

保護者が大学に求めていることとして、学習やスキル習得など、将来に役立つ指導・サポートを挙げていることが多いです。

昨今の就職活動では、学歴だけではなく、個人の素質や能力、これまでの経験に焦点を当てた採用を行っているため、大学のうちに社会人として必須となるスキルを身につけていくことが重視されています。

たとえば、将来の進路・生き方を考えられる指導、幅広い教養を身につける教育、キャリア教育の充実などが挙げられます。

また、学部によっては専門的な教育や将来に役立つ知識・スキルの習得を求める声も多いです。そのため、専門分野の教育に特化した大学へ期待している傾向もあります。

総合的に大学で良い成績を取得できる指導よりも、将来的に長く活用できる知識やスキル、キャリア形成の助けとなる教育が求められています。

視野を広げる環境が整っているか

講師陣や大学の指導が我が子の将来の人生において役立つ内容であるとしても、それらを支える環境が整っていなければ効果は期待できません。大学には教育内容や指導者の充実とともに、それらを確かなものとする環境も求められています。

具体的な例としては、専門的な内容を勉強できる設備を整えることです。

専門的な内容は、必ずしも学部や学科に関連したものとは限りません。たとえば就職後はパソコンスキルを問われることが多い一方、近年はパソコンの所有率が低下しており、インターネットもスマホによる利用が増加しています。

キャリア形成に力を入れている大学では、専用のパソコンルームやサポートスタッフを用意し、学生が自由にパソコンスキルを身につけられる環境が整えられています。

また、健康的な昼食をとれる食堂や友人と交流できるカフェなど、教育とは直接関係のない施設の充実も重要です。教育以外で大学に求めることとして部活動やクラブ・サークルの充実を上げる声も多く、心身両方の成長を促してくれる大学であるほど、保護者の支持を得ることができます。

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入試広報では保護者の視点も取り入れることが必要

入試広報では前述した保護者の要望に応える内容も盛り込みましょう。志願者が志望大学を保護者へ告白したとき、魅力的な大学であれば保護者のほうから受験を勧めてくれることがあります。

最後に、大学の入試広報担当者が保護者の視点を取り入れ、より効果的なアピールをするためのポイントをご紹介します。

大学の情報発信で力を入れるべき点

大学の情報発信では、カリキュラム名や就職率のみを提示する程度の内容は避けましょう。より具体的に将来を想像できるよう、学生と保護者目線の両方で発信する情報の精度を上げるべきです。

ポイントは、以下の2つを意識した構成にすることです。

・キャリア支援の詳細情報
・具体的な学生生活の様子

「キャリア支援に力を入れています」よりも「AIを活用したパーソナル診断を元に、学生個人に合ったキャリア支援計画を作成します」など、具体的な内容のほうが伝わります。必ずしも最新システムを取り入れる必要はなく、アドバイザーを担当制にするなど、個人に寄り添ってくれる環境であることが重要です。

学生生活の様子も、課外活動の様子だけではなく、日常風景を想像できる内容を意識しましょう。在学生に協力を依頼して「先輩の一日のスケジュール」を掲載するなど、普段の学生生活がリアルに想像できる紹介方法も取り入れてはいかがでしょうか。

コンスタントに情報を提供する

情報提供の頻度やスピードも重要です。近年は情報の消費スピードが早く、数か月前の情報がすでに「古い」と言われる時代です。そのため若年層を中心に目新しいものほど好まれる傾向があります。

以下のポイントを踏まえ、コンスタントに情報提供を繰り返しましょう。

・動画コンテンツの充実
・リアルタイムの情報配信
・MAツールで個人の志望意欲に合ったコンタクト

視覚と音で多くの情報を提供できる動画コンテンツは、その場にいなくとも雰囲気まで味わうことが可能です。大学紹介動画のほか、オープンキャンパスなどイベントの様子も臨場感たっぷりに発信できます。さらに生配信でリアルタイムの情報提供ができれば、注目度も上がるでしょう。

LINEなどメッセージアプリを活用した広報もおすすめです。たとえばLINEはMAツールを活用し、ユーザーごとの志望意欲に合ったアプローチができるため、効率良く志願者の獲得につながります。

保護者向けの情報発信をする

保護者と学生をひとくくりにした宣伝も必要ですが、保護者に特化した広報に力を入れる方法もあります。LINEで公式アカウントを作成するときは、総合的なアカウントとは別に保護者専用のアカウントを作成してはいかがでしょうか。

保護者が大学に聞きたいこと・不安に思っていることを把握し、大学へのイメージアップにつながるメッセージを発信します。MAツールを活用すれば、保護者それぞれの状況に合わせたプロモーションも可能です。

LINEアカウントのほかには、コンテンツの内容を見直す方法があげられます。子どもが親にシェアしたいと思えるような内容を意識し、コンテンツを作成しましょう。

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まとめ

アンケート調査では、子どもが志望校を告白したときに反対する保護者よりも応援したり了承したりする保護者のほうが多いことが分かりました。

より大学に好印象や安心感を持ってもらえるよう、入試広報では学生だけではなく保護者の目線を取り入れた内容を意識しましょう。