大学入試広報のトレンドから学ぶこれからの広報のあり方とは?

この記事では、大学入試広報のトレンドと、これからのあり方をご紹介します。


この記事は約6分で読み終わります。

これまでの大学入試広報は、一括資料請求サイトへの広告出稿が一般的でした。しかし、費用対効果の観点から見た場合に、資料請求の効果に疑問を感じている広報担当者の方もいるのではないでしょうか。

この記事では、現在のトレンドと、これからのあり方をご紹介します。

近年重要視されてきていること

近年は資料請求だけではなく、さまざまな手法で広報活動が行われています。

大学入試広報のあり方が大きく変わろうとしている中、より多くの入学志願者を集めるために、何を重要視しなければいけないのでしょうか。

資料請求だけでは太刀打ちできなくなってきている

これまでは、学生からの資料請求やオープンキャンパスへの参加、入試の出願など、すべてを待つという受け身的な部分が多く、思うように集客ができない大学もありました。

さらに、どの大学に出願するか決めかねている学生は、資料請求をしても必ずしも出願してくれるとは限りません。

また、資料請求をした学生がいても、それがきっかけで出願を決意したとは断言できません。そのため、資料請求の効果が見えにくいという課題もあります。

さらに大学生と受験生の間に資料請求サイトの媒体が入ることで、学生とのコミュニケーションが複雑になり、進学先を決めかねている受験生を囲い込むことができない状況なのです。

資料請求の効果に疑問を感じている大学は、新しい形の広報をはじめています。
学生の動向をリサーチし、効果的にアプローチできるように、さまざまなメディアや媒体を活用して学生への露出を増やしています。

これまでの資料請求に頼っている広報活動では、新しい形の大学入試広報に立ち向かうことは難しくなってくるでしょう。

18歳以下の人口は今後さらに減少するため、大学を存続させるためにも、優秀な学生を獲得することは非常に大きな役割を担っているのです。

これからはデジタルによる囲い込みが重要になる

現在、さまざまな産業で進化したデジタル技術を応用し、人々の生活をより良いものに変えていくための活動がすすめられています。

この活動はDX(デジタルトランスフォーメーション)と呼ばれ、DXを取り入れられない産業は大きな経済損失を受けるといわれているのです。

DXの波は、大学入試広報にも押し寄せてきており、進化したデジタル技術を活用する新しい広報活動が生まれています。

デジタル技術を取り入れると、学生と直接コミュニケーションがとれる機会が増えます。さらに学生の志願意欲ごとに、適切な情報を見極めて届けられるようにもなるでしょう。

また大学をアピールする手段が増えるため、資料請求自体の依頼数が減少し、資料請求媒体への出稿料、資料の印刷代、郵送代の削減にもつながると期待されています。

現在は新型感染症による影響でオンラインによるオープンキャンパスの開催も増えてきています。時代に合わせて大きな変化を迎えているのです。

目次へ

大学入試広報のトレンド

これまでの広報活動だけでなく、デジタルを活用した広報活動が広がりを見せている中、どのような手法が注目を集めているのでしょうか。

ここでは、トレンドについて紹介します。

学生参加型の広報

いまの大学入試広報のトレンドは、「学生参加型の広報」です。

学生参加型の広報とは、在学生に協力してもらい、高校生が知りたい情報を伝えていく手法です。在学生は高校生と年齢が近く、高校生が興味を持っているものや、自分たちが受験生だったときに知りたかった情報を教えてくれます。

学生参加型の広報は、在学生のリアルな声を入学希望者(高校生)に届けられるため、入学後の大学生活がリアルにイメージしやすいメリットがあります。

授業風景の動画や写真、在学生や教授のインタビュー記事を多く使った広報は、入学志願者からの信頼アップにつながるでしょう。

キャリア形成ができることをアピール

もうひとつのトレンドは、イベントやプログラムを通して、「自分の将来や本当にやりたいことについて考えられる機会を設ける」ことです。

進路に迷う高校生にアプローチし、イベントを通して大学について知ってもらうことが目的です。

実際に、1年間を通してさまざまなジャンルのプログラムを開催し、高校生のキャリア形成をサポートしている大学もあります。プログラムに参加した高校生が、実施した大学に進学するケースも多いようです。

さまざまなイベントを開催するメリットは、早期に学生との接触を図れることです。早い段階から学生とコミュニケーションがとれていると、段階的に志望意欲を育てられるため、見込み志願者となる根本母数を増やせるでしょう。

目次へ

今後どのような大学入試広報を行うのが最適か

今後ますます18歳以下の人口が減少する中で、どのような活動を行うべきなのでしょうか。
これからの大学入試広報の課題と、目指すべき方向性をご紹介します。

目的や対象者に合わせてメディアを選択していく

大学入試広報には、ターゲット層にアプローチする目的や対象となる学生の志望意欲に合わせたメディアを選択し、情報発信していくことが求められています。

よくある課題としては、ウェブサイトで情報発信をしても、みてもらいたい学生に届かないといったことがよくあると思います。効率よく情報を届けるためには予め情報発信をしたことに気づいてもらうための仕組みが必要になります。そのために活用されるのがLINEやSNSになりますが、さらに発信する情報の中身がポイントとなります。

情報を発信する際は、大学のPRだけでなく、特に比較検討初期段階の学生には大学入試を取り巻く環境の話題や教育関連で社会性のあるニュース、自治体連携・地元活躍などの地域関連情報なども発信すると効果的です。話題性のある関連情報を充実させることで、サイトを訪れる学生が多くなり、その結果として大学に興味・関心をもつ人が増え、入学希望者の増加につなげられる可能性が高くなります。

データを元にした情報発信をする

戦略的且つ計画的な広報活動を行うためには、データを元にした情報発信が重要です。学生の属性や志望意欲を分析し、適切なタイミングで情報を発信することで、大学への興味・関心を深めてもらえるでしょう。

データを元に情報を発信するためには、さまざまな媒体から集めた学生のデータを効率的に集約させる必要があります。つまり、資料請求をしてくれた学生の情報やオープンキャンパスに参加してくれた学生の情報に加えてウェブ上で集めたデジタル情報(ウェブサイトの閲覧情報やLINEでのアンケートなど)をひとつにまとめて活用するということです。

集約されたデータを元に、学生を志望意欲ごとのカテゴリーに分け、学生のモチベーションに応じて適切な情報発信をすれば、段階的な志望意欲の向上が可能となります。

目次へ

まとめ

大学入試広報のトレンドは、資料請求サイトへの広告出稿からデジタルを活用したコミュニケーション重視の双方向型へと変化してきています。

効率の良い広報活動を行うためには、学生のデータを活用した情報発信が重要です。デジタルマーケティングを活用して、志願者の確保につなげていきましょう。