新入試の情報を大学入試広報でどのように発信すべき?

2021年度から、大学入試が新しい制度、「新入試」に変わります。ですが受験生の焦りや不安をよそに、多くの大学は新入試に関する情報を、わかりやすく発信できていないのが実情です。 受験生やその保護者の不安は、志願者数を減らす原因にもなりかねません。情報を的確に発信して、志願者の確保につなげましょう。 この記事では、新入試における入試広報の課題と、情報発信のポイントを解説します。ぜひ参考にしてください。


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新入試における課題

最初に、今回改正される新入試にまつわる課題を解説していきましょう。

大学受験は、人生における重要な通過ポイントです。多くの人にとって、一生を左右するといっても過言ではありません。

しかし、予定されていた大学入試英語成績提供システムの導入延期や、感染症の拡大による自粛期間が長引いたことで大学としても情報発信が進まず、不安を抱えている入試担当者の方も多いでしょう。

自分たちの大学の受験方法を広報することは、志願者確保の必須事項です。これから多くの志願者を募る大学として、どんな点に着目すべきか、ここでしっかり理解しておきましょう。

新入試の内容を学生が理解しきれていない

これから導入される新入試の課題としてまず挙げられるのが、受験生自体が新入試の内容や制度の改正点を、充分に理解しきれていないことでしょう。

自分たちが受験をする2021年から入試制度が変わることは、知識として知っています。しかし、何がどう変わるのか、旧センター入試と何が違うのかは、よくわかっていない学生は実際に多いです。

また、新入試に関する情報が少ないだけでなく、過去問も存在しません。学校の教師も、塾の講師も試行錯誤の状態となっています。どのように受験対策をすればいいのかわからず、焦りや漠然とした不安を抱えている学生も少なくありません。

万が一、新制度の受験で良い結果が得られなければ、次の機会まで1年間待つことになります。そのため学生が志望校のランクを落としたり、様子見をしたりして、大学が志願者を集めにくくなっているのが実情なのです。

保護者も理解できていない点がある

学生だけでなく、大人である保護者も新入試の情報をなかなか入手できず、改正点を理解できていないといった問題もあります。

実際に受験するのは子どもとはいえ、保護者としては受験をサポートしてあげたいと考えるのは自然でしょう。しかし、受験制度が自分たちの世代と大きく変わってきていることに加え、新たな入試制度が導入されるため、どのように子どもにアドバイスをしたらいいのかわからないと悩みを抱えています。

大学側としても、保護者を安心させるためにしっかりと対策をたてる必要があります。

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新入試では大学ごとの入試の特色をアピールしよう

新入試において大学が安定した志願者数を確保するポイントは、大学ごとの入試の特色を、積極的にアピールすることです。

不安を抱えている受験生や、その保護者に分かりやすく説明することで、大学の魅力も伝わります。必要な情報を分かりやすく伝えることで信頼感が生まれ、良い結果に結びつくでしょう。

あくまで一例ですが、次のような試験の特色を発信してみてください。

● 総合型選抜

大学側との対話を通して、受験生の人物評価や、就学の意欲を重視して合否判定をするタイプの入試です。旧センター入試でいう「AO入試」に変わるもので、学生にとっては学力以外を高く評価してもらえるメリットがあります。

新入試では面接や論文以外にも、模擬授業やセミナーの参加が出願条件となるケース、エントリーシートの提出、プレゼンテーションなどを評価の対象としているなど、試験方法が多彩です。大学独自の取り組みや優遇など、受験生の興味を引く部分を上手にアピールすると良いでしょう。

● 学校選抜型

旧センター入試の「推薦入試」に変わる試験方法で、高校在学中の学習成果や、学校長からの推薦書を重視して合否を判定します。何かしら一芸に引いでたものを持っている受験生からは高い関心を集めています。

高校時代のスポーツ成績を評価基準とするスポーツ推薦型や、英語や簿記の資格を保有している受験生を優遇する有資格者推薦など、大学独自の取り組みをアピールすると良いでしょう。

● 大学共通テスト

マーク式の一律の試験を受けて、取得点数に応じて合否判定をする入試です。いわゆる「大学入試センター試験」に変わるもので、主に国公立大学を受験する人が対象です。私立大学の場合、共通テストの成績を提出することで合否判定を決める「共通テスト入試方式」を採用しています。

新入試では思考力や判断力を測るための問題が増えるといわれていますが、出題範囲は高校で学習した内容です。基礎・基本をしっかりと習得している受験生向きだといえます。

● 一般入試

私立大学を受験する人を対象としていて、大学ごとに日程や試験問題が違うのが特徴です。試験の内容は基本の3教科が主流で、大学共通テストよりも負担が少ないのは、受験生にとって大きなメリットといえるでしょう。

入試科目や配点に工夫を凝らし、独自色を出している大学も多いです。受験生からの注目度も高いため、良いアピールポイントになります。

また、一般入試は大学共通テスト以降の日程で行われます。試験日が重ならない限り、複数の学部・学科を受験できるのも、入試広報の大きな強みです。

入試の日程が他の大学よりも後ろ倒しにしているものがあれば、受験した大学の合否結果を見てから、別の大学へ出願しようと考える受験生をターゲットにできるため、入試広報では日程の情報について強調しておくと志願者の確保につながるでしょう。

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新入試の情報をわかりやすく発信する方法

ここでは新入試の大学情報を、受験生や保護者に分かりやすく発信していく方法をご紹介していきましょう。

入試制度が改定される今だからこそ、入試広報にも一工夫が必要です。時流に乗った手法でわかりやすく、受験生や保護者の興味を引き付ける広報を考えてみてください。

1.LPページ

効果的な入試広報のために、LP(ランディングページ)を活用すると良いでしょう。ランディングページ(landing page)とは、ユーザーが検索したときに最初に現れる、1枚で完結するWebページです。

ひと目で必要な情報が頭に入り、大学の入試の種類をわかりやすく解説することができます。ページを移動する手間がなく、途中からの離脱が少ないため、たっぷり情報を詰め込めます。

サイトにおいて一番目立つページなので、メリハリのあるデザインで発信できるのも魅力でしょう。多くの受験生の興味を引き付けるのに適しています。

2.動画

YouTubeなどの動画を活用するのも、入試の広報に効果的です。若い年代は動画に慣れているため、抵抗感がありません。

実際に動き、喋る姿には、字を読んだだけでは得られない説得力があります。いつでもどこでも気軽に視聴できるのも、広報の効果を伸ばす嬉しいポイントです。

動画が長すぎると視聴者が飽きてしまうため、内容を分けて、適度な長さでコンテンツを作るのが成功のポイントです。視聴回数を増やすためにも入試形式ごとに動画を作って、再生リストにしておくと良いでしょう。

3.チャット

チャットなどの便利なツールを使うのも、選択肢のひとつです。わからないこと、疑問に思うことに対してリアルタイムで回答を返すと、受験生からの信頼も集めることができて一石二鳥です。

あらかじめプログラミングした選択分岐型チャットを使えば、どの入試が向いているか、自動で診断することも可能です。新入試で不安を抱えている受験生や保護者への情報発信において、大きな強みになるでしょう。

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まとめ

これから少子高齢化に向かう日本の大学では、志願者の安定確保が必須です。そのためにも大事なのが、情報発信でしょう。

これから始まる新入試の特色を広報することは、制度改正に不安を感じている受験生に対して強いアピール力を有しています。

新入試の改正点や、大学独自の魅力をしっかり発信して、多くの志願者確保につなげることを心掛けてください。