大学入試広報の今さら聞けないウェブ広告、基礎のキソ

この記事では、
すでに多くの大学で活用されるようになったウェブ広告の基礎中の基礎を改めてご説明します。


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「学生にウェブ広告はしっかり届いているのだろうか・・・?」

大学入試広報でも実施が多くなってきているウェブ広告ですが、なかなか思った効果を得られない、過去にとりあえず実施してみたが効果の実感がなかった、そういった声多くいただきます。

ウェブ広告を掲載すれば、資料請求が増える、ウェブオープンキャンパスに集客ができ、個人情報がとれ出願も増える?!
“コト”はそんな単純ではありません。
ウェブ広告は誤解や間違った認識も多くあります。
まず、本題に入る前に、よくある陥りやすいポイントをお伝えしておきます。

ウェブ広告で陥りやすい3つのポイント

1:ウェブ広告のテクノロジーに満足しがち
他広告と違ってウェブ広告は狙いすました広告配信が可能となっています。年齢・性別・地域・興味関心など様々なターゲティングが可能となっています。この絞り込み機能で満足してしまいがちですが、重要なのは広告を出す先にターゲットとする志願者はいるのかをしっかり考えることです。

2:直接的な効果を求めすぎ
絞り込んだ広告配信ができることで、「資料請求」や「オープンキャンパスへの参加」など直接的な結果を求めてしまいますが、まずは大学に興味をもってもらい様々な情報を理解してもらうことが重要です。そのために大学入試広報としてのウェブ広告の目的では「LINE友だち登録」や「SNSアカウントのフォロー」など次へつながるつなぎとめ施策への誘導が最適です。

3:各大学イベントに応じた広告手法の切り替えができていない
初期イベントなどが開催される6月〜8月、入試ガイダンスや推薦入試などが実施される9月〜12月、一般入試などが実施され最後の期間となる1月以降、年間を通じて大学行事やイベントにあわせたそれぞれの時期がありますが、それぞれ受験生のモチベーションが違うためウェブ広告もこれにあわせてターゲティングや訴求の仕方などを変化させていく必要があります。

この記事では、すでに多くの大学で活用されるようになったウェブ広告の基礎中の基礎を改めてご説明します。

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大学広報にWeb広告を活用すべき理由

単純に受験生世代がネットを多くつかっているからではなく、ウェブ上での彼らの行動にあります。それは、「さまざまな情報取得」と「自らの情報発信」をウェブメディアを使っているからです。
現代の高校生は生まれたときからインターネットが普及しており、高校生の99.1%がスマホを使ってインターネットを利用しているといわれています。

また高校生の31.5%が1日に5時間以上インターネットを利用しており、インターネットが高校生の生活に密着した存在であることがわかるでしょう。

出典:令和元年度 青少年のインターネット利用環境実態調査 調査結果(速報)内閣府

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学生に興味を持ってもらえる広告の特徴

これからますます大学のウェブ広告が増える中で、どのような広告を出せば学生の目を引くことができるのでしょうか。学生に興味を持ってもらえる広告の重要なポイントが1つあります。それは、「受験生の立場に立っている」かどうかです。

受験生の立場に立っている

広告を制作する際に気をつけなければならないことは、大学が伝えたいことと受験生が知りたいことは必ずしも一致していないということです。

漠然としたキーワードでは、入学後のイメージがわきづらいため、志望意欲を高めることはできません。受験生がさまざまな大学を比較検討するために、知りたい情報をわかりやすく教えることが重要です。

受験生の立場に立ち、受験生が求めている情報は何かを考えましょう。

求めている情報を明確にできない場合は、在学生にサポートを依頼するのもひとつの方法です。なぜこの大学を選んだのか、もっと知りたい情報はなかったかなど、かつて受験生だった在学生のリアルな本音を教えてもらえるでしょう。
また、表現の仕方も重要です。受験生に受け入れられる表現、手書き風や写真コラージュ、学習ノートやホワイトボードなどをモチーフに使ったものなど「あっ、センスいい」「なに?!これかわいい!」など直感で興味を引く表現の工夫が必要です。

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大学広報で活用できるウェブ広告の種類

ウェブ広告にはさまざまな種類があり、それぞれに特徴や効果が異なります。
大学広報で活用できるWeb広告には、大きく分けて「リスティング広告」「ディスプレイネットワーク広告」「動画広告」「SNS広告」「記事広告」などがあります。

この中で比較的適しているのは、以下の3つでしょう。

1:リスティング広告
2: SNS広告
3:記事広告

・リスティング広告
検索したキーワードに関連して表示される広告です。入試制度やOC情報など、大学に興味がある学生の集客が可能ですが、集客範囲が広すぎてしまう一面があります。
また、閲覧者が能動的に検索されたキーワードに関連して広告が表示されるため、クリック率は他広告より高い傾向があり、大学以外の広告でも効果が高く、様々な業種で活用されています。出稿するキーワードは自由に設定できますが、キーワードによっては必ずしも学生のみに配信されるわけではありません。学生が検索した場合においても志望度に開きがあるため、無駄打ちになる場合もあり、キーワード選定と予算配分、キーワード入れ替え、広告テキストの変更など日々の広告運用が非常に重要な要素となります。

・SNS広告
LINEやtwitter、Facebook、TikTokなどに表示される広告です。拡散やいいねなどそれぞれの媒体の特性を活かした配信方法や独自の表現が可能になっています。
受験生が普段から利用しているメディアということと好きな芸能人や趣味、友だちのアカウントなどをフォローし情報収集することはもちろん、情報発信の両面を持ち合わせており、活発な活用をされているのが特徴です。

・記事広告
シンプルなバナーやテキスト広告と違い、1つの記事として媒体など第三者目線での文章表現が一番の特徴です。また、記事全体としてストーリーをもたせ順を追って物事を理解させることができるので情報量が多く、少し複雑な学部や入試に関する説明に適しています。また、実際に大学へ取材をしてもらったり、関係者や著名人などの対談形式の表現も可能ですが、その分、準備と制作に時間がかかってしまうことがあるので公開スケジュールなど注意する必要があります。

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積極的に活用したいメディア

広告は、目的に合わせて使い分けることで効果を発揮できます。大学入試広報では、ターゲットとなる高校生が多く使用しているメディアに広告を出す必要があります。

積極的に活用したいメディアは、以下の3つです。

【 YouTube / Twitter / LINE 】

それぞれ順番にご説明します。

YouTube

高校生がインターネットを利用する目的のひとつに、動画視聴があります。

多くの受験生が動画を毎日のように見て楽しんでいるため、YouTubeに広告を出すことは効果的であるといえるでしょう。

動画は、文章だけでは伝えにくい大学の雰囲気を音楽やテロップ、アニメーションなどでわかりやすく伝えられるため、YouTubeに広告を出稿する大学が増えてきています。
YouTubeに動画広告を出した場合、分析機能をつかって広告を見た反応を詳細に知ることができます。

twitter

twitterは10代の利用が多く、比較的に活発に入試や受験の情報を取得しているようです。単に大学からのお知らせではなく、普段の大学や学生の様子など大学アカウントでツイートした内容を広告として配信することができます。

また、広告配信手法も大学や入試について言及しているユーザーや過去問・入試勉強のことを発信しているアカウントをフォローしているユーザーを対象として広告配信することも可能です。
広告表現方法は通常のバナーだけでなく、動画や投票形式、課金方法もフォロー課金、リツイートやいいね課金など様々なものがあるのでこれらを組み合わせてうまく配信する必要があります。

LINE

LINEでは、LINEが提供するニュースやタイムライン上にバナーや動画を配信できます。
年齢・性別・地域などのターゲティングも可能ですが、あくまで類推データによる配信となります。また、CPF(Cost Per Frend)配信とよばれる友だち登録をしてから広告課金が発生する配信手法もあり、公式アカウントを取得すれば、大学に興味を持ってくれた学生に友だち登録してもらうことができるので、チャットを用いてコミュニケーションを取ることも可能です。

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まとめ

大学入試広報では、ターゲット年齢や属性が限られている、受験イベントや入試スケジュールに合わせた1年間の大きな流れでの進行であることから、一種特殊な広報活動と捉えるべきです。
そのため、多くの企業で活用されているような一般的なウェブ広告の手法ではなく、大学入試広報にあわせた出稿の仕方に変更して実施する必要があります。
さらに、媒体・表現やターゲティング手法・課金形態など組み合わせとしてはかなり膨大な数が存在し、それに関連する情報も多数あります。これらをすべて正しく理解して対応することは限られた人数と時間で難易度が高いこともあるので、「媒体と目的」はある程度絞って実施するほうが良いでしょう。