大学入試広報にSNS運用とは?活用するためのポイントを解説

>この記事では、各SNSの特徴を説明しながら、情報発信を行う際のポイントや注意点も、具体的にまとめてお話します。


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こんにちは、スタディプラス デジタルマーケティング推進担当の亀井です。


よくいただく質問で、ズバリ「大学入試広報でSNS活用は有効か?」といったものがあります。

近年、大学入試広報での情報発信ツールとして、SNSを使うのが当たり前の時代になりました。情報を拡散しやすいというメリットがあるSNSを使った広報活動ですが、中には「とりあえず情報発信をしているがどう使っていいのかわからない」「アカウントはあるがそのままになってしまっている」というご担当の方もいるでしょう。

すでにSNSの運用を行っている方の中には、「思ったような成果を得られていない」「どんな情報を発信すべきか迷走している」という方もいらっしゃるかもしれません。

大学入試広報でSNSを取り入れたい!どのSNSがおすすめ?

それではまず、Facebook、LINE、Twitter、Instagramの4つのSNSを取り上げ、それぞれの特徴を解説していきましょう。利用者や利用年齢層も合わせてまとめますので、参考にしていただければと思います。

まずFacebookの国内利用者数は、2,800万人ほど。利用者の年齢層は30~40代に多く、大学入試広報におけるメインターゲットとなる10代の利用者は少ない傾向です。

ハンドルネームを使って利用されることが多いSNSの世界において、Facebookは実名での登録を義務化しています。匿名利用を希望するユーザーにとっては抵抗感が強い反面、ビジネス利用などでは信ぴょう性が増すという特徴を持っています。

LINEは、いまや電話やメールに代わる連絡手段ツールとして、国内において約8,200万人ものユーザーから利用されているSNSです。年齢層は10~50代まで幅広く、日頃からよく使っている高校生も多いのではないでしょうか。

芸能人や企業が公式アカウントを持っている事例も多く、ユーザーと双方向のやり取りができるのがメリットのひとつです。

TwitterもSNSとして長く親しまれてきました。国内利用者数は約4,500万人で、ユーザーのメイン年齢層は10~20代と比較的若い層の間で使われています。

140文字以内の短文を呟くという気軽さと、「いいね」やリツイートを使った拡散力の強さから、スピーディーな情報発信に優れているSNSといえます。

Instagramは比較的新しいSNSではないでしょうか。しかし、国内利用者は約3,300万人と非常に多く、主に10~30代の年齢層でユーザーが急速に増えたSNSです。

投稿内容のメインは写真となるため、Instagramユーザーはこぞって写真映えするスポットや料理を投稿することから、「インスタ映え」という言葉もありますよね。

SNSにはそれぞれ特徴があるもの。“大学入試広報に使用する”という目的であれば、ユーザーの年齢層に10代が多く含まれ使用頻度も高い以下の3つでしょう。

【LINE / Twitter / Instagram】

私、個人的には「LINEとtwitter」の2つでよいと感じています。
もし、ある程度の投稿量と質を維持した状態で2つも運用できないということであれば「LINEのみ」でよいのではないかと考えています。

Instagramを外した理由は・・・「運用難易度が高い」からです。
学生からの期待値も上がりがちで「インスタの世界観を崩さず大学で運用されるのか」とか「いい感じの写真をアップしてほしい」といった「ハードル上げ」が発生すると思われまます。そもそも学生が求めるインスタの価値を大学のアカウントでは出しきれないのではとも感じています。

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大学入試広報でSNSを活用する際のポイント

SNSを使って大学の広報活動を行うには、まず配信するコンテンツを検討する必要がありますが、その前に運用方法や体制についてもしっかり考えることが大切です。

それぞれのポイントを具体的に解説していきます。

運用体制と役割分担を整える

SNSで発信した内容は、ときには瞬く間に世の中に広がっていきます。大学で運用される多くの場合はお1人で対応されることも多いようですが、適切な運用ができるようにするためには、複数人で対応し役割分担することが理想です。ただ、人的リソース確保の観点でも難しい面があると思いますので兼任でもよいので最低でも2名でチームを組んで対応できるようにすることをおすすめします。

<役割分担例>
1:配信計画策定、投稿内容を検討・制作
2:SNS管理画面での設定、効果分析レポート

また、SNSでは、送信ボタンをタップすることでどんな内容でも誰でも発信できてしまいます。仮に担当者がひとりで運用していると「その情報は本当に適切な内容か?」の確認が疎かなまま、情報が配信されてしまう可能性もあります。

配信内容の事前チェックは複数人で行いましょう。
配信は余裕をもって計画的に行いましょう。(詳細は後述)

ガイドラインと運用ルールを決める

以下のようなガイドライン、運用ルールを事前に決め、それにそって運用すると特定の人への依存も緩和され一定レベルでの運用が可能となります。また退職や異動に伴う担当変更時や引き継ぎなどの際もスムーズに対応できるようになります。

<ガイドライン例>
・投稿者の人物像設定(架空の人でも良い)
・文章の口調・語尾「ですます」などトーンとマナーの設定
・フォロー、リプライ、リツイート、いいねなどの実行ガイドライン
 (※不用意な有名アカウントへのいいねやフォローなど)
・ネガティブ投稿やコメントなどの対応ガイドライン
・事故発生時のエスカレーションガイドライン

<運用ルール例>
・投稿内容カテゴリ
・投稿内容
・投稿間隔
・投稿タイミング(曜日時間)
・NGワード

他大学や企業のSNSアカウントの運用ルールなどが公開されていることもあるので、まずは、それらを参考に簡単なガイドラインやルール作成から対応実行することをおすすめします。

コンテンツカレンダーを作る

大学のマーケティングでは1年を通して様々なイベントや学生の気持ちの変化、態度変容があります。ただ、これは他の業界の通年の流れよりも比較的わかりやすい流れとなっているのではないでしょうか?大学での年間計画も作成されていたりすると思いますので、その流れにあわせて、事前に配信カレンダーを作成します。可能であれば3ヶ月分の作成を行い、1ヶ月半経過した時点で次の3ヶ月分のカレンダーを作成するとスムーズに運用がながれていくと思います。

<カレンダーを作成する際の決めておくべき要素例>
1:誰に→エリア・志望意欲・想定訴求学部
2:いつ→長期計画では月単位、3ヶ月や1ヶ月では上旬中旬下旬といったレベルでOK
3:何を→大学予定計画とあわせた打ち出したい内容、もしくは関連情報
4:期待する効果→到達リーチ数、反応数(いいね数、クリック数など)
5:その結果・反響→上記4の結果

まずは、直近1ヶ月分のカレンダーの作成から始め、慣れてきたら3ヶ月分に拡張するとよいでしょう。
専用のGoogleカレンダーを作成し関係者でシェアして運用するのもおすすめです。

興味・関心を引き出せるコンテンツを考える

大学入試広報にSNSを使うなら、大学の魅力をアピールできるコンテンツを積極的に配信したいですよね。まずは、投稿を見た志願者に「この大学自分にあってそうだなぁ」「この大学もう少し知ってみたいな」などと感じてもらうことが目標です。

SNS上では、気になるアカウントをすぐフォローできる反面、興味がなくなればすぐにフォローを外すこともできます。高校生の興味や関心を引き出せる内容を配信できなければ、すぐに飽きられてしまう可能性もあるのです。

とはいえ、フォロワーの高校生の興味や関心は人それぞれです。学部について知りたい人もいれば、どんな学生が通っているのかに興味がある人もいるでしょう。フォロワーの興味関心が多岐にわたる以上、すべてのフォロワーにとって常に有益な情報を配信し続けることは、現実的に考えて難しいという点は割り切る必要があります。

SNSはあくまでも「志願者となる可能性のある高校生に、情報を確実に届けるためのツール、もしくは情報に接触してもらうきっかけ」として活用しましょう。

なお、SNSを運用しても、大学側が望む成果が必ず出るとは限りません。そのため、SNSを運用するにあたって、いきなり大きなリソースと費用をかけるかどうか検討する必要もあります。

それを踏まえたうえで、まずは小さく地道に運用することが、SNSによる大学入試広報を成功させる近道だと思います。

ほかのSNSの事例を参考にする

「とにかく他の大学のSNSもアカウントを数多く見る」私はこれに尽きると思います。そこから見えてくるものも多いですし、一番大きいのは、どういったものが多く投稿されていてどういったものが投稿されていないのかはざっくりと感覚はつかめます。あとは、写真や文言など伝え方や表現の仕方も工夫しているアカウントもあるので、参考にされると良いと思います。
大学の事例はもちろん、他業界におけるSNSを使った広報活動の成功事例も参考になります。

私が様々なSNSアカウントをみて感じたことで、反応率が高い投稿には共通点があるということです。

 

それは、「有機的な投稿」です。

 

どういうことかというと、例えば入試日程やオープンキャンパス内容の発信では「単なる情報」にとどまってしまいます。これでは共感は生まれません。


入試日程発表の裏側にどんな人がいるとか
オープンキャンパスの準備はどんなことが大変なのか
その情報や出来事に関わる人や期待している内容、苦労したポイント
どんな気持ちで対応しているかなどなど

暖かさや気持ちなど『目に見えないものが伝わる』ような投稿をしていくことを私は「有機的な運用」とよんでいます。

 

そういった投稿を計画的につくり、投稿していくことで反応の傾向をつかみ改善していくことこそがポイントになってきます。

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大学入試広報にSNSを運用する際の注意点

SNSでの情報発信にはポジティブとネガティブの両方の面が存在します。

最後に、大学入試広報でSNSを活用する上で注意したいポイントを紹介します。

継続的に行うことが重要

SNSアカウントを作成したら、まずは継続的に情報発信を行うことが大前提となります。アカウントがあるのに長らく放置されているといった状況は、閲覧者にマイナスな印象を与えてしまうでしょう。

また、SNSは初めてすぐにたくさんのフォロワーや「いいね」を得られるものではありません。長い目で見て徐々に効果を上げていくものなので、定期的にユーザーからの反応を見るためにも長期的な運用が必須で、そのためのある種「覚悟」が必要になります。こう言うとかなり重たい印象になりますが、即効性のある効果が見えずらい特性をもったSNS運用はまさにこの部分が重要となります。

即効性より地道な運用

前述したとおり、SNSの運用による広報活動の成果が見えてくるまでには、一定の期間が必要です。よって即効性は期待できない広報活動であることは、あらかじめ認識しておくべきです。

また、効果的な情報発信ができていない場合は、継続的に更新し続けても思った成果を上げられない可能性も出てきます。投稿する内容とフォロワーの反応の相関をうまく分析して期待する効果が小さく出始める「キザシ」を察知することがとても重要になります。その「キザシ」から投稿内容や見せ方、投稿タイミングなどを改善し大きな効果につなげていくとよいでしょう。

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スタディプラス亀井からの6つの提言

1:大学入試広報で使うSNSはズバリ「LINE」と「twitter」
2:SNS運用は2名以上で役割分担(兼任でも可)
3:運用ガイドラインとルールを決める
4:計画的に行うためにコンテンツカレンダーを作る
5:『目に見えないものが伝わる』有機的な投稿を意識する
6:小さくスタートし地道に長期運用前提に運用する

SNSの利用者数は、いまや全世界に拡大しています。それに伴い、公式アカウントを持つ大学や企業もどんどん増えてきました。

昨今は高校生の大半がスマホを持ち、SNSなどで気軽に最新情報を得られる時代です。

まだ大学として公式アカウントを持っていないなら、この流れに乗ってぜひ活発なSNSアカウントの運用を検討してみてはいかがでしょうか。

SNSを使った大学の広報活動を上手く活用しながら、志願者確保に役立ててくださいね。