選ばれる大学になる?大学で実践すべき「入試広報ブランディング」とは?!

少子化が加速する中で、昨今は「大学全入時代」に突入しているともいわれる時代になりました。学生が自由に大学を選べるこの時代において、大学側はどのように魅力をアピールしていけばよいのでしょうか。 今回は大学が行うべきブランディングのあり方を紐解きながら、具体的なブランディングの方法を、順を追って説明していきます。


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大学入試広報におけるブランディングとは

高校生に知っているかぎりの大学の名称を挙げてもらったとして、いったい何校の名前が出てくるでしょうか。

誰もが知るような大学といえば、頻繁にメディアに取り上げられるようなほんの一握りであることを思い知らされることでしょう。

とはいえ、それぞれの大学には、その大学ならではの強みや価値があるもの。「卒業生の公務員合格率が高い」「有名企業への就職率が国内No.1」など、アピールすることで大きな魅力になるものを、なにかしら持っているものではないでしょうか。

大学入試広報におけるブランディングとは、このような強みや価値をその大学の“ブランド”としてアピールし、「魅力ある大学」と認識してもらうための取り組みです。

ただし、「大学のブランディング」となると規模も大きくなりますし、学内でもかなりな大事となります。

ここでおすすめするのが入試広報に特化したブランディング活動です。

ブランディングのターゲットとしては、学生だけでなく、保護者や教育者も対象となります。学生周辺の関係者に対して大学入試広報としての魅力を発信することで、多角的な視点から大学を評価してもらうことにもつながります。

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大学入試広報でブランディングをするメリット

大学としてブランディングを行うことは、どのような効果をもたらすのでしょうか。ひとつの大きなメリットについてお話します。

入学者の質が上がる

大学の志願者数が多いのは喜ばしいことですが、ただ人数が多いだけ、というのは避けたい事態です。たとえば入学者に対して、志望した理由を質問した際、学生が「なんとなく」「自分の偏差値に合っているから」などと答えるばかりの状況は、喜ばしいものではないでしょう。

大学のブランド力を高めることは、愛着心を持って入学する学生を増やすことにもつながります。

入学の動機として「自分が学びたい学科があったから」「将来の夢を実現できそうだから」などを挙げる学生が増えれば、それだけ学生全体における学びへの向上心も高まっていくことでしょう。

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大学のブランディングで欠かせない3つの要素

ブランディングの重要性を理解した上で、次に考えるべきなのは、どのように大学の魅力をアピールするかです。

ここでは大学のブランディングに欠かせない3つの要素を解説します。

1.ターゲット

ブランディングのターゲットとして、真っ先に思い浮かぶのは志願者・受験者となる高校生です。高校生に魅力ある大学だと認識してもらえることが、志願者数の増加に大きな影響をもたらすと考える方も多いでしょう。

高校生の保護者も重要なターゲットとなります。保護者は、子どもの大学選びに大きく関わる存在です。家庭によっては子どもの選んだ大学に保護者が意見を挟んだり、保護者自身が子どもに受験する大学をおすすめしたりすることも考えられます。

よって、保護者に魅力ある大学として認識してもらうことは、大学選びの候補として選ばれるためにもとても重要なことなのです。

加えて、教育者の存在も忘れてはいけません。学校の教師は、生徒の受験にアドバイスをしたり、生徒の成績や志望動機に合った大学を提案したりと、大学受験に多大な影響を与えます。
このとき、教育者に大学の存在を認知されていない状況は、生徒と大学の接触機会を失うことにも直結する問題となり得るのです。

2.大学の魅力

大学の強みや価値をアピールする、と言葉で表すのは簡単ですが、具体的になにをどう発信すればよいのか分からない方もいらっしゃるのではないでしょうか。

より効果的なブランディングを目指すには、大学の魅力を大学側がしっかり認知することから始める必要があります。

まずは大学として掲げている役割について考えてみましょう。大学で学ぶことによって得られる知識や経験はなにか、それを経て社会にどう貢献していくことを目指しているか、といった内容を明確にします。また、大学での教育を通じて、どのような人材を生み出したいと考えているかを高校生にも理解できる言葉に落とし込みましょう。

最後に重要なのが、大学のアイデンティティです。たとえば「スポーツ教育に力を入れている」というだけでは、他校との差別化が難しいこともあります。

具体的にどう力を入れているか(特別カリキュラムがある、支援制度が充実している、関連資格が取得できる、関連施設が充実しているなど)を明示することで「その道のオンリーワンの地位を確立していること」をアピールするのが重要です。

3.コンテンツ

ブランディングに使うコンテンツ選びも大切な要素となります。

目を引く広告やわかりやすい資料を制作する、大学のWebサイトの内容を充実させるなど、コンテンツの選択肢は多岐にわたるもの。昨今は大学としてSNSアカウントを持ち、日々情報の発信を行う大学も多い時代となりました。

いずれの選択肢を選ぶ場合にも、まずは「届けたい情報に合った発信方法はどれか」を考えることが大切です。例えば、大学の雰囲気を知ってもらうなら、動画を活用すればダイレクトに伝えることができ、講義内容をアピールするなら公開講座が適しているでしょう。

どのターゲットに情報を届けるのかも重要視すべきポイントです。特に高校生に情報を届けたいのであれば、いまや多くの高校生が当たり前にスマートフォンを持っているということを踏まえて、SNSで情報発信をするのがもっとも効果的になることもあります。

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大学でブランディングを行う際の流れ

ここまでの内容から、大学のブランディングがいかに重要かお分かりいただけたのではないでしょうか。最後に大学におけるブランディングの手順を解説していきます。

1.自分の大学について分析する

ブランディングを行うためには、現状を知ることが不可欠です。学生や保護者、教育者、そして卒業生といったステークホルダーから持たれている印象について、客観的な視点を受け入れてみることから始めてみましょう。

競合大学との比較も現状を知る上で役立ちます。このように世間からの認知度や持たれているイメージを明確にすることが、ブランディングを行うための第一歩です。

2.入試広報での強みを知る

より効果的なブランディングを行うにあたっては、強みをしっかり認識していることが大前提となります。

スタンダードな方法としては入学者や非入学者にアンケート調査やインタビューで、最近ではウェブを活用しオンライン行うことで効率的に且つスピーディに意見を収集することが可能になっています。他校にはない、強みを知ることができれば、もっともアピールしたいことは何かが明確になってくるはずです。

強みは、そのまま大学のイメージにもつながる大きな要素となります。大学として高校生などにどのようなイメージを持ってほしいかを考えれば、自ずとアピールに使える強みも見えてくることでしょう。

3.実際の広報活動に落とし込む

ここまでくれば、あとは行動に移してアピールしていく段階です。まずは視覚的に印象づける方法として、”入試や受験生向けだけ“で利用するキービジュアル、イメージカラー、キャッチコピーを新たに作成するということも有効な手段となっています。ただ、大学本来のイメージに統一感を持たせておくことは注意しなければなりません。

「このビジュアル(マーク、色)・キャッチコピーといえば○○大学の入試」と覚えてもらうことができれば、広告などを打った際にもイメージ付けがしやすくなります。

また、昨今は高校生の8割がスマートフォンを持っている時代。大学のブランディングにおいても、デジタルの活用は欠かせないといっても過言ではありません。

SNSやWebサイトを活用することによる積極的な情報発信は、高校生たちに大学をより身近な存在として認識してもらうためにも非常に役立つことでしょう。

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まとめ

大学のブランディングは、志願者の増加や入学生の質の向上につながるとても重要なもの。より魅力的な大学であることをアピールするためには、現状を知り、最適なコンテンツを用いて情報発信を行うことが必須です。

日本全国にたくさんの大学が存在するこの時代。「学生から選ばれる大学」にするために、まずはできることから始めてみませんか。