フレームワークの活用で明確にしたいこと
まずは、フレームワークとはどのようなものなのでしょうか。フレームワークの意味と、フレームワークによってできることについて解説していきます。
フレームワークとは
フレームワークとは物事を整理するための手法です。
フレームワークの中にもいくつかの分析方法がありますが、用途に合った方法を使えば、短時間で課題を明確にまとめることができるでしょう。
現状や問題点、改善方法、目標などを細かく把握できるため、課題に対して論理的に説明することも可能になります。
また、項目別に順を追って物事を整理していくので、網羅性をもって解決策にのぞめたり、重複なしの状態で話を進めたりすることができます。
フレームワークの最大のメリットといえば、問題解決だけでなく、それぞれの課題に対して活用できるところでしょう。
フレームワークは、頭の中を整理したいときや、手順や順序を考えたいとき、個人的な目標を立てるときなど、生活の中でもさまざまな場面で使えます。
すぐに大学入試広報に当てはめてみるのは難しく感じるので、身近なものをフレームワークに当てはめて、どのような効果が期待できるか練習してみましょう。
フレームワークで明確にできること
物事を明確に整理すると、さまざまな視点から、自分たちが置かれている状況をわかりやすく理解することができます。
そのため、フレームワークを使って大学の客観的な評価、競合の大学との違い、大学の強みや弱みを理解できれば、入試広報における課題の解決に役立つでしょう。
また、同時に大学のアピールポイントを深く探ることにもなり、あらためて大学の魅力に気づくこともあります。
18歳の人口がだんだん減っていく中で「少しでも志願者を増やしたい」。入試広報をする目的として、この思いに尽きるでしょう。
そのためには、入試広報を通して学生に興味・関心を持ってもらい、しばらく経った後も印象に残っていることが重要です。
学生の印象に残すためには、受験生が欲しいと思う情報を提供しなければいけません。
そこで、フレームワークを活用すれば、受験生のニーズに合った入試広報ができるでしょう。
入試広報で活用できるフレームワーク
では、実際に入試広報で活用できるフレームワークについて紹介します。
3C分析
3C分析とは、「Company・Customer・Competitor」について分析していく方法です。
Company(自社)を大学に、Customer(顧客)を学生に、Competitor(競合)はそのまま競合に当てはめて考えてみましょう。
「大学」の項目では、自分の大学の評価や強み・弱みについて、気づいたことを書き出します。
「学生」の項目なら、ターゲットにしたい学生はどのような学生か、大学に対して学生はどんな情報を求めているのか、などについて書き出してみましょう。
「競合」の項目は、競合の大学と比較してみたときに、出てきたポイントを書き出します。
それぞれの視点で考えていくことで、大学の強みやメリット、問題点、改善したいところなどを客観的に把握できるでしょう。
3C分析は、競合の大学との比較がしやすいので、これからの戦略を考えたい場合に向いています。
ZMOT
ZMOTとは、顧客は何を買うか決めてから、お店に行って買い物をするといった理論のことです。
顧客が商品を買うとき、お店に入って商品を見てから、欲しいものを購入しているようにみえます。
しかし、インターネットの普及により、「来店前に商品について情報収集をして買うものを決めてから来店する」というように、買い物の仕方も変わってきているというものです。
では、この考え方を大学に当てはめてみましょう。
インターネットによって、たくさんの大学の情報を集めやすくなり、また大学の評判や口コミなども把握しやすくなりました。
そのことから、大学に関する情報収集を行った時点で、志望意欲が高い状態にあると考えられます。
FMOT
FMOTとは、顧客が商品棚を見て、数秒間でどの商品を購入するか決めるという理論のことです。
お店で商品を見たときに、パッケージが気に入った、ディスプレイが目に入った、店頭でみたプロモーションが気になったなどが影響しています。
このことから、外観や見た目で与えるイメージが重要だということがわかります。
この考え方を大学に当てはめると、大学のパンフレットやロゴを見たとき、その大学に志願するかどうか決まる瞬間といえるでしょう。
SMOT
SMOTとは、実際に商品の使い心地を体感して、次もその商品にしようかと判断している段階のことを表します。
この考え方を大学に当てはめると、大学による情報提供に対して好感が持てている段階だと考えられます。
身近に感じることができて、かつ手軽に多くの情報を届けられるLINEやSNSを使って情報提供すれば、学生により伝わりやすくなるでしょう。志望意欲をさらに高められる可能性もあります。
フレームワークで大学の魅力を知ることで入試広報は変わる
フレームワークを取り入れて、いままで気づかなかった大学の魅力を知ると、また違った角度からのアピールが期待できます。
学生に届けたい大学イメージを統一させる
フレームワークによって、大学の客観的な評価やイメージ、またこれからターゲットにしたい学生が把握できたら、パンフレットのデザインや大学のロゴを見直してみましょう。
パンフレットのデザインや大学のロゴに統一感を持たせることで、それらを目にした学生にインパクトを残せます。
それぞれの学生に対し異なる情報を届ける
大学を知っていて興味・関心がある「志望意欲の高い学生」もいれば、大学を知っているけれど興味がない・大学に魅力を感じていない「志望意欲の低い学生」など、さまざまな学生がいます。
志望意欲の高い学生には、すばやく行動に移してもらえるように入試対策や入試の情報について発信しましょう。また、意欲の低い学生には大学に興味を持ってもらえるように、学部の紹介やなどを発信します。
大学専用のフレームワークの開発も検討してみる
フレームワークはいわば、考え・思考の基礎となる「ひな形」です。いろいろな事柄について、分解してバラしていくことで、課題を明確にできます。
課題がわかりやすくなると、無駄を省くことができ、問題解決・目標・戦略などに力を注ぐことが可能です。
また、この問題解決に取り組もうとするときに起こりやすいのが、認識や考え方の違いでしょう。
しかし、フレームワークを活用すれば、現状や課題を正確にまとめられるため、ズレや認識の違いが起こりにくくなります。
既存のフレームワークをそのまま利用しただけでは、大学について十分に把握できない場合もあるでしょう。
フレームワークは企業で使われているイメージが強いですが、大学でもフレームワークを応用して使うことができます。
今回紹介したフレームワークの他にもたくさんのフレームワークがあります。フレームワークにはそれぞれ特徴があるので、目的に合ったフレームワークを活用していきましょう。
既存のフレームワークを大学用にカスタマイズできれば、入試広報の課題もスムーズに解決できる可能性があります。
まとめ
入試広報で大学の魅力が上手く伝えきれていない原因のひとつに、自分たちの大学の良さをしっかりと把握できていないことも考えられるでしょう。
大学を知っている・大学に興味を持っている学生に、より魅力を感じてもらえるように、ぜひフレームワークを活用して、より効果的な入試広報ができるよう改善してみてください。